吉徳これくしょん vol.06

 
檜兜(ひのきかぶと)

 端午の節句の「端午」とは、端め(はじめ)の午(うま)の日を意味し、当初は五月に限ったものではありませんでしたが、これが五月五日に定着したのは、午と五の音が通ずることによる混同と、中国において月と同じ数の重なる日を「重日」として忌み嫌う思想があり、なかでも季節柄、疾病の流行を促しやすいことから「悪月」とされる五月は一層の災厄除去の必要があると考えられたためです。

  日本には奈良時代以前に中国から伝わったといわれ、剣のような葉の形や強い香気に破邪・長命の力があるとされる菖蒲を屋根に葺いたり、酒に混ぜて飲んだりして、災厄を祓うよう祈りました。

  江戸時代になると、端午の節句は幕府の重要な式日として定められましたが、「菖蒲」が「尚武・勝負」に通ずることから武家では特に好まれ、跡継ぎとなる男児の誕生を祝い、健やかな成長を祈るため、災厄から身を護る象徴として鎧兜を飾るようになりました。

  檜兜は、檜の薄板を用いて作られ、しころ部分に檜を細長い短冊状に削ったものを垂らすことから「削り掛けの兜」とも呼ばれます。清々しく格調高い造形は、おそらく神事に用いる幣帛の形を転用したものと考えられ、端午の節句の飾兜の古式を伝えています。

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