吉徳これくしょん vol.25

 
ミニチュア郷土人形・玩具

 日本全国各地では、古くから様々な人形・玩具が作られてきました。素焼に彩色を施した「土人形」、木型に和紙を張り重ねてかたちづくる「張子」、オガクズと糊を混ぜ合わせて型抜きする「練物」、木をロクロで挽いた東北特有の「こけし」などはその代表的な例です。

  今日、「郷土玩具」などと呼ばれて土産品としても親しまれているこれらの多くは元来、それぞれの土地の庶民の間で育まれ、愛されてきた節句人形や玩具であり、そこには幼い者へのあたたかな愛情や安らかな日々の暮らしをねがう祈りが込められていました。ただし明治以降、こうした素朴な人形玩具類は時代の変遷のなかで次第に本来の需要を失い、廃絶を余儀なくされるものも少なくありませんでした。

  しかし一方で、廃れゆく人形や玩具を愛し、その保存や普及を志す人もありました。明治中期頃には、そうした人たちが集う趣味の会もでき、そこでは会合のたびに会員諸氏が秘蔵の逸品や珍品を持ち寄りました。子どもの「もてあそびもの」であるはずの人形や玩具は、実は大人の立派な趣味の対象ともなる豊かな芸術性を具えていたのです。

  本品は、彼ら「趣味家」のための頒布会用に作られた、各地の人形・玩具を写したミニチュアです。本物にくらべて綺麗すぎるきらいはありますが、それぞれの持つ造形のかわいらしさは見事に再現されています。

  • 吉徳の歴史
  • 日米親善人形
  • 節句人形の飾り方・しまい方
  • 吉徳ひな祭俳句賞
  • 吉徳これくしょん